2014.10.28

 

リアル移住者日記 - 神戸R不動産スタッフ・魚住編 -(1)

魚住麻衣子(神戸R不動産/Lusie Inc.)
 

初めまして、神戸R不動産の魚住です。
今年の3月から、神戸R不動産初の女性営業スタッフとして働き始め、今8ヶ月が経とうとしています。日々、神戸R不動産のサイトをご覧の方は(ウオズミ マイコ)という名前を見て「あぁ。こんな人もいたな」と目に止まってくれていたら嬉しく感じます。

私の部屋からの風景。塩屋の小高い丘の上の部屋から。

実は、私は2014年2月に東京から神戸の西部垂水区にある「塩屋」という街に引っ越してきました。

25歳の時、生まれ故郷の大阪を飛び出し、新しい刺激を求めて東京へ進出した自分でしたが、当初は、東京に長く居着くつもりはありませんでした。
上京し数年後に結婚した経緯もあり、6年程、東京都の台東区にある「谷中」という場所で暮らしていました。

生まれ故郷を離れ新天地に飛び出して行った、そんな自分ですから、「東京大好き」な人間だったと自負しているのですが、次第に、膨大な情報量をうまく自分で消化できないことがあったり、3分に1本必ず回ってくる山手線にスピード感がついて行けなくなったりと、自分の容量を超えるように感じるようになっていました。
2011年に起こった東日本大震災がきっかけに、私たちは、自分たちの生活力の低さや、常にモノがある状態を信じ過ぎていることに、恥ずかしさと、危なさを感じていました。
東京時代、私たち夫婦は、ありがたいことに良い仲間にも出会え、ほぼ毎日夕食は外食が当たり前。連夜、仲間たちと、どんちゃん騒ぎし、また朝から仕事の繰り返し。体力もあったので、そんな日々を過ごしていました。
すごく楽しい思い出ですが、毎日がスペシャルな状態でした。

震災から学んだ経験から、自分たちの今までの雑な生活の仕方を見直したいなと考えるようになりました。

自分たちの祖父母や親が当たり前にそうしていたように、日々の食事を作ること、自分たちで飲む為のお酒を自分で作ったり、夫婦で散歩したり、朝、山を登ったり、夕暮れ時に海を眺めたりと生活の営みを当たり前にできるようになりたい、それが自然の近くなら、尚、素晴らしいと思ったのです。
そこから1年間、主人と何度も話し合い、2014年の2月に私たちは、移住を決行しました。

現在、私の主人はビール職人の道に進み始めたところ。自分たちで飲むビールを自分で作る。それを実現するのが今の私たち夫婦の夢なのです。

KOBE MAP FOR NOMADS 神戸移住のための地図

私たちの移住計画はすんなり……というわけでは決してありませんでした。

ずいぶんと前から、私たちは関西に越すイメージを持っていました。
主人が、奈良生まれだったこともあり、初めの頃は奈良で物件を探していたのです。
けれども、奈良の物件はなかなか自分たちの思うような家にたどりつけず、半ば諦めかけていた頃、主人が「神戸にR不動産があるらしい」という情報を見つけてきてからは、神戸R不動産の物件情報を日々チェックするのが私の日課になっていました。
(ちなみに、私は当時、金沢R不動産も大好きで金沢にある小さな町家を改装して暮らそうかなんて妄想もしていました。)

しかし、東京で日々働きながら、遠方の物件を探すのは容易なことではありません。
時間と費用は東京の物件を探す何倍もかかります。
(具体的には夫婦2人の内見の際の交通費・宿泊費も含め一回に約6万位は必要です。)
そうは言うものの、不動産は縁とタイミング。
「この物件ならば!」と思うものに出会ったらすぐさまアポイントを取り、翌日には神戸へ見に行くというのを何度も繰り返しました。
けれども、神戸に着いてから、「すみません。昨日、申込が入りました。」なんてことも……
さすがにその時は涙が流れました。
涙をにじませながらトボトボ歩いていた私の目に入る、坂の上から見下ろす街並とその先に広がる海、そして背後180度にそびえる六甲山という神戸らしい景色。
海から、山からと吹いてくるひんやり心地よい風は「やっぱり、気持ちの良い場所だな」と改めて感じさせてくれたのです。

今思うと、物件探しもちいさな旅をしている感覚でした。

しかし、東京に帰宅すると、また当たり前のように、ものすごい早さで目まぐるしく進むトーキョータイムが待っています。

当時は、その繰り返しで移住に憧れているものの、なかなか踏み切れずにいました。

そんなことを何度か繰り返していたのですが、遂に「神戸へ移住しよう」と腹をくくるきっかけになる物件に出会います。

「山の上のアトリエ」

「山の上のアトリエ」当時募集されていたのはこの物件である。

この物件は、阪急芦屋川駅から車で10分程の奥池町という場所で、「おたふく山」の登山口に位置するところにある築46年の古いマンションでした。

まず、阪急芦屋川駅を下車してから、物件に着くまでのロケーションは最高でした。駅の側を流れる芦屋川は本当に美しく、川のほとりで、若いお母さんと小さな子供達が楽しそうにお弁当を食べている微笑ましい姿が目に焼き付き、
「荒川の河川敷でこの風景は見れないな。中目黒の目黒川は下に降りれないしな」なんて考えつつ、車に揺られること約10分、クネクネと山道を登り、途中、気圧で耳がキーンとなり、下界から違う世界に移動したような感覚を覚えたのです。
そして到着したこのマンションは、まるで山岳地帯のペンションのような造り。愛らしい朱色と白の外壁の外観、そして部屋からの眺めも、屋上からの眺めも最高だったのです。

部屋からの風景。車でたった10分だが、山の中央から小さく見える芦屋の街を眺める。

住人に自由に解放された屋上からの眺めを見た時、私の頭の中には神戸で新しい生活をする自分たちの姿が目に浮かんでくるようでした。

実は、この時に案内してくれたのが、営業の先輩である岩崎。
(後々、岩崎の計らいによって私は神戸R不動産の一員になる)

実際は、この物件の購入は諸事情により断念せざるをえなくなるのですが、この物件との出会いが私の神戸に対する想いをヒートアップさせたのです。

(次回に続きます)※次回は2014年11月4日に掲載

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このブログについて
 

山と海に囲まれた街、神戸に移り住み5年。引越魔だった私が神戸に定住できたのは、この街の居心地がとても良いから。 そして神戸で会社を始めたのも、この街に住み続けられる仕事というのが大前提にあったから。居心地のわけをお伝えして参ります。


著者紹介
 

小泉寛明(神戸R不動産/Lusie Inc.)
小泉亜由美(神戸R不動産/Lusie Inc.)
西村周治(神戸R不動産/Lusie Inc.)
岩崎大輔(神戸R不動産/Lusie Inc.)

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