2012.10.11

 

〜坂の上に引越しました〜

西村周治(神戸R不動産/Lusie Inc.)
 

今回は神戸R不動産スタッフの西村がお送りします。

神戸市の中央区から灘区までの間は、海からJRまでは平坦な道ですが、阪急より北側は住宅街となり、六甲山までずっと坂道が続いていきます。
その昔は景色の良い坂の上が一番人気だったのですが、最近では駅近の物件の方が人気が高く、坂の上を敬遠する人が増えています。でも、坂のある風景は神戸ならではと言えるもので、山との近い生活や、今では家賃が比較的安くなっていたりと、メリットが多々あります。何を隠そう、実は僕も灘区の坂の上に住んでいて、今回は実際住んでみてどうなのかってこと、リアルに感じたことをご紹介します。

神戸の地形を図示。神戸阪急より北の坂の上のエリアをご紹介。(画像をクリックすると拡大してご覧いただけます)

坂の上からの風景

神戸は坂を登れば、海へ山へと眺望が抜けていくのが魅力です。海と山を同時に見渡せる物件も数多くあります。坂の上は低層の住居地域ですので周辺には2階建の建物が多く、3階以上の階やルーフバルコニーがあれば、遠く海まで見渡せる環境にあります。

ルーフバルコニー(左)と室内の風景(右)。神戸R不動産にてリノベーションを行った物件だが、屋上の景色が気に入り、つい自ら借りて住み着いてしまいました。

僕が住んでいる家はルーフバルコニー付き。以前から洗濯物を干すだけの小さなバルコニースペースにずっと物足りなさを感じていて、いつか広いルーフバルコニー付物件に住みたいと憧れていました。
ルーフバルコニーの良い所は、なんといっても開放感。階段を登れば、一気に周りの景色が開けるのですごく良い気分転換になります。バーベキューに使ったり、椅子に座ってのんびり街や星空を眺めたり、多目的に使えるスペース。椅子や机、パラソルなんか広げて、夏の夜は涼しい外で過ごすことが日常になりました。

夕暮れに市街地にかかる虹が見えたり(左)、金環日食の時には家にあった全てのサングラスをかき集めて鑑賞したり(右)と、ルーフバルコニーを楽しんでいます。

坂の上となると、六甲おろしの風が一年を通して吹いてくるので、夏場でも窓を開け放てば、エアコンいらずの生活もできます。特に風が強い時は、外に出した机やパラソルは必ずしまっておかないといけません。机を出していたら、ピューッと吹っ飛んでいって、道路を封鎖してしまい、ご近所の方にご迷惑をおかけしました。洗濯物を干す場合も洗濯バサミでバチッと止めることは必須です。
せっかくルーフバルコニー付物件を手に入れたので、一年を通して使いこなせるかと思ったのですが、真冬は寒すぎて使えない時期もあります。でももったいないので、真冬でも僕はダウンジャケットを着てブルブル震えながら、タバコを吸ったり本を読んだりして使いこなしています。あと、坂の上の物件で注意しないといけないのは、真冬路面凍結することもあるということ。僕の住んでいるところは(かなり山に近い急坂の上の部分ですが)、真冬は路面が凍結して白くなっていたことがありました。

神戸R不動産では屋上・バルコニー物件、数多く掲載しております。

あと、自然も豊かなところで、野生動物も数多く出没。坂の上に住んでこれが一番驚きでしたが、イノシシが人間のように路上を歩くこと。最初はビックリしていましたが、夏の夜は出会うことが多く、イノシシがいることが日常になっています。近所の住民もイノシシに遭遇しても驚いたりすることもありません。うり坊を連れた母親は気がたっているので気をつけないといけませんが、住み始めてから今までイノシシに危害を加えられたことはありません。近所のゴミ捨場は荒らされないように囲われていますし、この地域ではイノシシとうまく共生できているのではないかと思います。

神戸の山際エリアはイノシシが出没。夜行性で日中は見かけません。うり坊はすばしっこいので写真ではブレてよくわかりませんが、お母さんイノシシはその様子をやさしく見守っています(中央)。ゴミ収集所は厳重なオリの中に(右)。

意外と便利なバス

灘区に住んだことがない人であれば、電車の駅から徒歩で10分だとか15分だとか歩いて上がることについて抵抗がある方もいらっしゃると思います。でも、このエリアに住んでいる方の多くはバスを有効に使っています。
坂の上を通る阪急六甲と三宮を結ぶ2系統のバス。1930年(昭和5年)から変わらずに運行しているこの市バスは5分程の間隔でひっきりなしにバスが来るので、待つことのない便利な路線。市街地までバス一本で赴くことができるので、坂の上でも意外と快適な交通手段。三宮駅には数多くのスーパーもあり、阪急六甲駅には「阪急オアシス」や「いかりスーパー」があるので、通勤帰りに夕食の買い物もできます。坂の上から下るのは徒歩で下った方が気持ち良いですが、問題は登り。電車より時間はゆっくりですが、登りはバスを利用すると意外と良いのです。

神戸2系統の市バス。坂の上を走っていくので、住民には必須の交通手段。(画像をクリックすると拡大してご覧いただけます)

もちろん自転車・原付を利用するのもアリ。六甲・王子公園の駅前駐輪場も利用できます。そのまま原付で三宮まで通勤しても片道20分程度ですので、神戸市街地へも通勤のしやすい立地です。僕は雨の日でもバイクを利用していますが、カッパは必須です。週末たまに酔っ払って飲んで帰ってくるときは、割り切ってタクシーも利用します。坂の上の自宅に帰ってくると、都会から一歩距離を置いているので、仕事のオンオフをバチッと切り替えられる気がします。

灘区を楽しむ、3つのエリア

灘区には楽しむべき3つのエリアがあります。(画像をクリックすると拡大してご覧いただけます)

1. 神戸といえば、六甲山。
只今六甲山上で「ミーツ・アート芸術散歩2012」開催中です(9.15-11.25)。六甲ケーブルから六甲山へロープウェイでひとっ飛び。六甲山牧場もあるので、山の上でのんびり羊と過ごすのもいいかもしれません。牧場なので、チーズづくりや乳製品も試食できます。山上のソフトクリームは格別です。

羊を眺めてソフトクリームを食べる。詳しくは六甲山を楽しむサイトへ→ Rokkosan.com

2. だいたい揃う、水道橋筋商店街
神戸で有数のマンモス商店街。活気に満ちあふれており、ここに来れば大概のモノは揃います。ジャンクなアンティークショップやリサイクルショップも数多く存在しており、先日訪れた時も、定価7万円ほどのイタリアの照明器具(フロス)が1000円で転がって売られていたのを見つけた時はドキドキが止まりませんでした。意外と知られていませんので、このエリアを訪れればまさかのお宝が発見できるかも。
屋台でリーズナブルに食べ歩いたり、居酒屋も充実しています。ちょっと一杯飲みに出かけたら、遅くまで帰って来られないなんてことも。少し疲れたら灘温泉に立ち寄るのもあり、会社帰りにひとっ風呂。源泉掛け流しの炭酸風呂はお肌に良さそうです。

水道筋商店街。神戸有数のデイープなマンモス商店街。詳しくはこちら→ 水道筋商店街

3. 動物園の王道、王子動物園
休日にひとりでも家族でも過ごせる、神戸で動物園といえばココ。キリンさんが好きでもゾウさんが好きでも、眺めているだけで時間があっという間に過ぎていく場所。また王子公園を含めると大きな緑地帯となっているので、その近くの物件はその眺めと涼しい風が心地良くオススメです。王子公園内でランニングやトレーニングをされてみると気持ちよさそうです。

いろんな動物に出会える王子動物園。詳しくはこちら→ 王子動物園

さて、ざっと灘区の坂の上の物件についてご紹介してきましたが、少しでもその魅力がお伝えできましたでしょうか?
坂を下っていくことは容易ですが、問題は坂をがんばって登っていかなければならないこと。でも灘区北側なら、バス時々タクシーといった公共機関を使ったり原付を使ったりすれば、意外と快適に過ごしていただけるのではないでしょうか。駅から離れて坂を登れば、バルコニーや屋上から山へ海へと抜けていく景色を堪能できる物件があります。駅近に比べて、面積も広く賃料もお値打ちです。
三ノ宮駅周辺は住むにはすこし都会すぎる、かといって東灘区芦屋西宮はスノッブで気取った雰囲気がちょっと・・と感じている方には、ぜひ灘区坂の上の物件をオススメしたいです。休日は六甲山に王子公園へ、毎日の買い物は水道筋商店街。ちょっと視点を変えてみれば、楽しく住めるエリアではないでしょうか?

このブログについて
 

山と海に囲まれた街、神戸に移り住み5年。引越魔だった私が神戸に定住できたのは、この街の居心地がとても良いから。 そして神戸で会社を始めたのも、この街に住み続けられる仕事というのが大前提にあったから。居心地のわけをお伝えして参ります。


著者紹介
 

小泉寛明(神戸R不動産/Lusie Inc.)
小泉亜由美(神戸R不動産/Lusie Inc.)
西村周治(神戸R不動産/Lusie Inc.)
岩崎大輔(神戸R不動産/Lusie Inc.)

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